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ハトノユメ

自作小説ブログ

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明け方の散歩道(2)

今日のように早朝に目を覚ましてしまうことがときどきある。

そういうときは、もう一度眠ろうと思っても眠れないということを過去の経験から学んでいた。

悪夢の後の二度寝は、トキには不向きであるらしい。

そういうときは、散歩をするのもいつものこと。

海へ行って日の出を待つ。まぶしい光をながめたあとは、気分もだいぶすっきりする。


トキには、早朝に家を抜け出すことをとがめる者はいない。

気楽さと寂しさが同居する一人住まいの部屋からは、数分歩くだけで浜辺に行くことができた。

波音がだんだんと大きくなるのをかんじながら、ゆっくりと歩いてゆく。

防風林を通り抜けると、目の前に果てしない水の広がりが見えてくる。

空と海の境界線だけが、うっすらと橙に色づいている。

波が行きつ戻りつしているほかは、何の気配もかんじない。人も、鳥も、まだ姿を見せてはいないようだ。

暗い砂浜へおりて、やわらかいその感触を靴底で楽しむ。

さく、さくと音をたて、波打ち際を歩くトキの軌跡は、まれにあらわれる大きな波にさらわれ消えてゆく。

トキは足もとが濡れるのもかまわずに歩いた。

彼が今はいている靴は、この散歩のためだけに靴箱に入れてあるスニーカーで、普段学校へ通う時に使うものとは別のものだ。

濡れてもかまわない。家に戻ったら日光がよく当たる玄関先に立てかけておけば、学校から戻る夕刻には乾いているはずだ。


しばらく歩いているうちに、あたりが少し明るくなってきた。

もうじき夜明けだ。

トキはいつも日の出を見るときに定位置にしている、浜辺に唯一置かれたベンチを目指した。

そのベンチは浜の隅の、やや入り組んだ先にあり、周辺からは見えづらい位置にも関わらず、日の出を見るには最高の向きに据えられている。

トキのとっておきの場所だ。


(つづきへ→)




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■ コメント

Re: タイトルなし

<<れもん様

新作の更新を開始しました~^^
相変わらずのまったりペースな更新になりそうですが…
また読みに来ていただければうれしいです!

コメントありがとうございます!

おおおっ★
し、新作ですか!?
なんだか題名からしても素敵で初めから綺麗な表現ばかりでドキドキです
こういう自然地形?というか・・の説明は読んでいてうっとりするので好きです♪

続きが楽しみです♪

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