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ハトノユメ

自作小説ブログ

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飛翔 (4)

いくつもの戦闘機が行き交う空。

その中で、アルバトロスの駆る機体だけが、不思議なほど滑らかに、何ものの抵抗もかんじさせない様子で、空に美しい軌跡を描いてゆく。

上昇、反転、下降、旋回。

美しいまでの連続動作をみせるアルバトロスは、あまりにもあっさりと、敵戦闘機を墜としてゆく。

その飛び方は、

放たれてくる機関銃の弾道を予知しているかのような、

向かってくる全ての機体の軌跡を予知しているかのような、

ひとり違う世界を飛んでいるような、

そんな風にみえるほど。



上昇、反転、下降、旋回、そしてまた上昇。


縦横無尽に飛び回るその姿は、あらゆる地上の束縛から解放された、一瞬の自由を謳歌しているようだった。


地上にもどれば、また悩むことになるのだ。

わかりきったことだ。

戦闘スイッチがきれたとたんに、アルバトロスの思考は色々なものが交錯しはじめる。


それでも、飛んでいる時だけは、柵(しがらみ)も、悩みもなにもかも忘れ、ただ美しい軌跡を描くことだけを考えていたい。

仲間とともに、帰るために。

アルバトロスは自分の中にある多面性をすでに自覚している。

飛ぶことを渇望する自分、戦いを厭う自分、仲間を想う自分、独り悩む自分。

何人もの自分がいることを。

そしてそれは、ずっと抱えていかなければならないものであることも。

人は、いくつもの側面をもった複雑怪奇なものであることを、アルバトロスは知った。


(つづきへ→)





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