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ハトノユメ

自作小説ブログ

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邂逅 (4)

アルバトロスは、ずっと抱えていた思いを、ひげ男にぽつぽつと語った。
飛ぶこと、戦うこと、これまでのこと、現在のこと。

初対面の相手にこんなに自分の心情を話すことはかつてなかった。

ひげ男のもつ不思議と人を安心されてくれる雰囲気が、アルバトロスを多弁にした。

「戦いたくはない。でも飛ぶことをやめるのは未練があるんです。矛盾している」

最後にそう言ってうつむいたアルバトロスに、ひげ男は言葉を発することはなく、ただアルバトロスをおちるかせるように、肩をぽん、ぽん、と叩いた。


------

列車がくる時刻が近付いてきたと言って、ひげ男は立ち上がる。

「いいかい、乗ったらあとは積み荷の隙間に収まってじっとしているんだぞ。夜明け前には発着場に着くはずだ。トンネルを抜けてから発着場までは少しだけ距離がある。発着場のやつらに気づかれないように、トンネルを抜けたらすぐに列車から飛び降りて、脇の樹木に紛れ込むんだ。夜明けを待って山を下っていくと小さな川がある。それを上流へ進めば街道にでるから、あとは標識を頼りに自治区まで歩いていくんだ。多少距離はあるが、約束の日には間に合うはずだ」

「はい、ありがとうございました」

深く頭をさげたアルバトロスに、ひげ男はほほ笑んだ。

「任務の成功を祈る」

「はい」


小さな声で答えたアルバトロスを少し見つめたあとで、ひげ男は少し気恥ずかしそうな様子で口を開いた。

「それからな、悩むのは、悪いことじゃないぞ」

そう言って、肩を叩いてくれる男に、アルバトロスは最初きょとんとしたが、先ほどの話について言っているのだと気づいて、こくんとうなずいた。

「進むべき道に迷った時は、とことん悩めばいい。自分を見つめなおすいい機会だと思ってな」

「はい」

「悩みのない人間なんていないんだ。悩み、考え、進むべき道を選ぶ。みんなそうやって生きてるんだよ」

「……あなたも?」

「もちろんそうさ」

ひげ男がにっと笑ったのを見て、アルバトロスも少し笑った。

「なあ、ぼうず、もしかしてアルバトロスって名前かい」

「……はい、そうですけど。どうしてわかったんです?」

任務にあたるパイロットの名前は現地の仲間にも伏せられているはずだ。そういった情報をもらさないためにわざわざ合言葉など設けてあるのだ。顔さえ知らされてないはずだ。現に、ひげ男は自分が今回の任務にあたっている当事者かどうか、合言葉を言うまでわからなかったはずだ。

それなのに、どうして名前を言い当てることができるんだ?

「いやなに、少し前に本国の知り合いからまだ若いがいいパイロットがいるって聞いたんだよ。アルバトロスって名だと言っていたから、もしかしたらそうかと思って」

「そんな。いいパイロットじゃないですよ、ぼくは。その情報だけでどうしてぼくだと思ったんです」

「……自分に似ていると言ったんだよ、その知り合いが。自分の若い時に似ているってさ。確かにそうだなと俺も思う。お前さん、似てるよ、あいつに。才能を持て余しているところも、才能があるが故に悩みが多いところも、よく似ている」

「どんな方なんです?そのお知り合いの方は」

「お前さんたちが伝説のパイロットだと呼んでいるやつだよ」

「え?」

「列車が来るぞ」

アルバトロスの声を、ひげ男の緊張をはらんだ声が遮った。

ゴウっという音が近づいてくる。点のようなヘッドライトが見えたと思ったら、みるみる大きくなる。

「さあ、そろそろ減速するぞ。準備しな」

ひげ男に背中をたたかれ、アルバトロスは身構えた。

「機会があったらまた会おう。そら、今だ、飛び移れ」

ガタガタガタという列車の走行音が響く中で、かろうじて聞こえるひげ男の合図にうながされ、アルバトロスは宙に舞い上がった。

目の前にきた柱につかまり車両の内部に転がり込む。すぐに左方向に遠心力をかんじた。急カーブだ。それを過ぎたあとは一気に速度を増していく。

非常灯の明かりだけがちらちらと過ぎ去っていくほかは、なにも見えない。


アルバトロスは積み荷のすきまに身を置くと、目をとじた。

頭の中を、先ほど聞いたひげ男の言葉が何度もよぎる。

できることなら、また会いたい。また会って、さっきの話の続きを聞きたい。


そう思いながら、アルバトロスは時間が過ぎていくのを、ただひたすらに待った。


(つづきへ→)



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■ コメント

Re: タイトルなし

<<れもん様

コメントありがとうございます!

ひげ男の名前は、作中では出てこない予定です^^;

そういう謎っぽいのもよいかなと思いまして。。

一応、設定上は決めてあります。でも、内緒です^^

続き待ってました~♪


私もまた、ひげ男にあってお話また聞きたいです!

伝説のパイロット・・って!?

というか、ひげ男さんお名前ないんですかね(笑)

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