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ハトノユメ

自作小説ブログ

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邂逅 (2)

「こんな任務にかりだされて、ぼうずも大変だな」

ひげ男の言葉にアルバトロスは曖昧に笑った。かなり暗くなっているので、それが男に見えたかどうかはわからない。

「あなたこそ、潜入任務は大変ではないのですか」

「もう慣れたな」

「……いつから、この任務を?」

アルバトロスの問いに、ひげ男はやや間を空けて考えるそぶりをしている気配だった。

「いつからだったかな。だいぶたつ。以前は本国の基地で通信士をしていたこともあった」

「へえ」

「あのころは若かった。敵の暗号を解読することや、より難解な暗号を開発することに熱中していたな」

ひげ男はくくっと自嘲気味に笑った。

「もともとはパイロット志望だった」

「どうして通信士に?」

「初期訓練は受けたんだがな、途中で体がでかくなりすぎてだめだと言われた。コックピットのイスには規格外だってさ」

ひげ男はそこで笑い声になった。

「小さすぎるんだよ、コックピットの作りが」

ひげ男はかなり体格が良い。背が高く、立派な筋肉が全身についている。たしかに戦闘機のコックピットにおさめるには大きすぎる体かもしれない。相当に窮屈だろう。

「小型化と軽量化を推し進めたためにあのサイズになったんだろうな」

「もっと操縦席に余裕のある輸送機のパイロットになることはお考えにならなかったのですか?」

「少し考えたがな……。才能がないことを痛感してきっぱりあきらめたよ」

ひげ男はそこでふうっと長い息をはくと、頭上を見上げた。

「いっしょに操縦訓練を受けていた同期に、ものすごいのがいてな。そいつの飛びっぷりを見ていたら、自分の腕のなさがあわれに思えた。コンドルっていって、俺が本国にいたころはちょっと名の知れたパイロットだったが、知ってるかい」

「はい。ものすごい腕前だったって語り草になっていますよ」

「へえ、ぼうずみたいな若いのにまで知られてるのか。さすがだな」

「有名ですから。まあ、同年代の知人のなかには知らない人もいますけど」

「無理もない。ヤツが活躍してたのは十年以上も前だからな。今の若いのは知らないやつもいるだろうさ」

ひげ男は苦笑した。

「そんなすごい人が、あるときぱたっと姿を消してしまったんですよね、たしか。戦死したって言う人もいれば、どこかで今も飛んでいるはずだって言う人もいる。すごく不思議です」

アルバトロスの言葉に、ひげ男は空に視線を向けたまま言った。

「コンドルは、絶頂期に突如引退したんだよ」

「なぜ」

「さあ。理由は知らんが、もう飛ばないと言ってな。その後は一度も飛行機には乗っていないはずだし、軍とも一切接触していない。それで消息不明ってことになっている」


いつの間にか上ってきた月が、ひげ男の顔を照らした。その横顔は、昔を思い出すような、ぼんやりと遠くを見ているような気配だった。

「あいつは飛ぶのはうまかったが、戦うことには不向きな性格だったからな」

ぽつりとそう言うと、ひげ男はトンネルのほうへ視線を移した。

「もうすぐ列車がくるな。それが通り過ぎたら出発しよう」

腰を上げた男のあとを、アルバトロスは無言でついていった。


(つづきへ→)

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■ コメント

Re: タイトルなし

<<れもん様

また来ていただけてとってもうれしいです^^

アルバトロス気に入っていただけたみたいですね。

つかみどころのない子なんですが、

ちょっとふわふわしたようなところも魅力かなと思ってます^^


作品の内容は楽しく読めるというかんじではないのが申し訳ないのですが……

少年たちが成長するところを書いていきたいと思ってますので、またぜひ読みにいらしてください。


応援ありがとうございます!

また、訪問させていただきましたっ!!

今回は、ここまでよませていただきました☆

アルバトロスの性格がものすごく好きです・・♪

一緒にしてしまいますが潜入(3)のところでのアルバトロスの疑問を読んでなんだか心が旬?となりました。確かに、なぜ、戦うのでしょうかね?その答えにアルバトロスはたどりつけるのかな、と思いました

続きが楽しみです

応援ぽち♪

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