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ハトノユメ

自作小説ブログ

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潜入 (2)

駅で計画に狂いが生じた。

鉄道が予定通りに運行していない。車輌故障で立ち往生した列車の処理に時間がかかり、ダイヤが大幅に乱れているようである。駅員に話を聞くと、列車は四時間前から一本も駅に来ていないという。次の列車が来るのは夕刻になりそうだとのここだ。

「どうしよう」

駅舎の前におかれたベンチに腰かけて、バーディはため息をつく。

「待つしかないだろ」

しれっと言ったイーグルは、先ほど買った缶コーヒーを開けて飲み始めた。表情がすぐれないのは計画が狂ったからではなく、タバコが吸えないからだろう。少年らしくふるまうことが要求される今回の任務が始まってから、バーディは人前でタバコを吸っていない。目立つことを避けるために自主的にひかえているようだ。

「目的地への到着日までは2日の猶予がある。多少の遅れはもともと計算のうちだ。それよりも問題はどうやって待つか、だ」

イーグルは声を低める。

「このまま駅の近くで待つのはやめたほうがいいと思う。駅には警備員がいるし、長居すると勘付かれる可能性があるぞ」

「じゃあ、どうするのさ」

「街中を観光でもしているのがいいだろうな。一か所にとどまるより移動を続ける」

イーグルの言葉にアルバトロスはうなずいた。彼の言うとおり、駅前にとどまり続けるのはあまりよい気分ではない。駅の周囲には私服警官と思われる者が幾人もうろついている。目をつけられたらやっかいだ。列車が来る夕刻まで街中を散策でもしていたほうがよいだろう。

「それから・・・・・・」

イーグルがまた声を低める。

「一人ひとり別行動したほうがよいと思う」

バーディはその言葉にあきれ顔になる。

「イーグル、こんなときに協調性のないことを言わないでよ」

「べつにそういう意味で言ったんじゃない。三人で徒党を組んでいるとかえって目立つ気がするんだよ。集合時間を決めて、バラバラに行動したほうがいいと思うけどな」

確かに少年のグループは少々目をひいている印象はある。理由はわからないが、この街には若者が相対的に少ない。ただでさえ目立ちやすいのに、三人いればなおさらだ。

「アル、きみの意見は」

バーディが訊ねてくる。アルバトロスは少し間をおいてから、

「イーグルの言うことは一理ある。たしかにちょっと目立ってたね」

と答えた。

「じゃ、決まりだな」

イーグルが口元だけかすかに笑う。


「夕方四時に駅舎の前に戻ってくる。そのあと列車に乗ってターミナルへ向かおう」

「ターミナルに着くのは夜になっちゃうね。どうするの」

「夜行列車があるだろう」

「ああ、そっか」


事前に買っておいた時刻表をめくりながら、イーグルがおおまかな計画をたてなおす。

「もしも四時に全員そろわなかった場合は、その時点で戻ってきたものだけで先に出発する。遅れたやつは、自力で何とかしてもらうからな。最終的に3日後の朝に目的地にたどりつけるように最善を尽くすこと」

「わかったよ」

「了解」


イーグルとバーディが雑踏のなかへ去っていくのを見届けてから、アルバトロスは別の方向へ歩き出した。


(つづきへ→)


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