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ハトノユメ

自作小説ブログ

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冬にねむる (8)

紋様の力を爆発させたレイナはもはや立っていることができずその場にうずくまった。

たたみかけるようにめまいに襲われる。

天と地がめまぐるしく入れ替わり、目を開けていられない。どっと倒れ伏した。

輪郭を取り戻し始めた景色のなかで、レイナをさがしていたユウリが、髪の長い、細いからだが葛折れているのを見つけて抱き起した。

レイナの顔は、みるみる血の気をうしなって白くなってゆく。

「レイナさま」

ユウリの声に、レイナうっすらと目を開けた。

その目がユウリをとらえる。

きっと真っ白な顔をしているだろう。

そう思ったが、存外に気持ちはおだやかで、かすかに微笑むことさえできた。


「ユウリ……」

「レイナさま」

「ちょっと無理をしすぎたみたいだ」

「しゃべらないでください、体に障りますから」

「今回はだめそうだよ。自分でわかる……」

「そんなことはありません。お願いですから、しゃべらないで」

レイナはさきほど夢にでてきた少年のユウリを思い浮かべた。彼はきっと、自分を止めにきたのだ。こうなることがわかっていて、止めに現れた。

レイナはユウリの肩を掴んだ。

「ユウリ、たのみがあるんだ……」

肩を掴む手に力をこめた。

「たのむから、冥土までは供はしてくれるなよ……そんなことをされてもうれしくない」

レイナは笑った。

「きみには生きてほしい。そして、好きなことをしてほしい……たのんだよ」

「何を言っているんです」

「承知したと言って。お願いだから」

レイナはじっとユウリの目を見た。ユウリはめずらしく、焦りや不安の入り混じった表情をしている。

普段は表情の乏しいユウリ、そのユウリが顔をこわばらせるほどに自分を心配してくれている。

もうそれだけで、十分だと思った。

十分に幸せだ。

これまで精いっぱい仕えてくれたくれたユウリを、もう自由にしてあげなければ。

レイナはユウリを見つめつづける。実際にはそれほどの間ではなかったかもしれないが、ユウリの言葉を待つレイナには、ずいぶんと長くかんじられた。



やがて、ユウリはこくんとうなずいて言った。

「わかりました、言いつけどおりに致します。ですから、もうしゃべらないで、体を休めてください、休まないと」

その言葉を聞いて、レイナはほっと息をついた。これで安心だ。ユウリは自分との約束をやぶったことはこれまで一度もない。

「うん、もうしゃべらないよ……ありがとう、ユウリ」

「すぐに軍医をよんできます」

「いい、ここにいて。このまま……」

「レイナさま」

「ありがとう……」


レイナはゆっくりと笑顔をつくると、そのまま目を閉じた。


(終章へすすむ→)

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