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ハトノユメ

自作小説ブログ

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冬にねむる (5)

夢を見ていた。

いくつかの場面が断片的に現れては消える。

現実との境界を、浅い眠りとの間で彷徨っている。


昔の出来事、どこかで見た景色、全くの空想の産物。

そして時折混じる、未来の出来事と思われるもの。


回転木馬に乗り続けているように、ぐるぐる、ぐるぐる、現れては消え、忘れた頃にまた顔をのぞかせる夢のかけら。情報の洪水。

めまいがしそうな場面転換。



ふいに目の前が開けた。見晴らしのよい場所。

晴れ渡った空。

美しく光を反射する湖のほとりに、ユウリが佇んでいる。ユウリはこちらをふりむくとかすかに笑った。

まだ少年のころのユウリの顔だった。

これはいつの思い出だろう。子供のころに行った避暑地での光景だろうか。それとも、自分が勝手に作りだしているものだろうか。

どちらなのか定かではない。しかし、今見ている光景がとても美しいのは確かだ。

このところ夢にでてきていたのは、どれもあまり良い光景ではなかった。昔の出来事でも、嫌なことばかりが現れた。

それに比べ、今夢に見ているのは何とも心地よい風景だ。


少年のユウリがこちらに近づいてくる。白い半そでシャツがよく似合っている。黒髪をかすかな風にゆらされながら、まっすぐこちらに歩いてくる。

ユウリは目の前までくると、湖のむこうを指さした。

「あっちに、とてもきれいな花が咲いていましたよ。いっしょに見にいきましょう」

ユウリはレイナの手をとって歩きはじめた。少年のユウリが、大人のレイナを連れてゆく。

しばらく水際を歩いた。草が生い茂るなかを、ユウリは迷いなく進む。二人のほかには人の姿はない。それどころか、ほかの生き物の気配さえ感じられない、静寂の世界。やはり現実とはちがう。

レイナが生み出した世界のなかで、二人だけで美しい景色を見て歩く。

これはきっと、自分の願望なのだろう。

ユウリと二人で、どこか知らない土地を旅してみたい。思い出を共有していたい。半身を、失いたくない。


(つづきへ→)

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