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ハトノユメ

自作小説ブログ

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秋にめざめる (10)

レイナは老女に誘われ、ほのかに香の漂う小部屋に入った。

そこは、窓のない一室で、床や壁、天井などに複雑に入り組んだ紋様がびっしりと描かれている。

いかにも何か儀式的なことを行うための部屋。


老女はいくつかの蝋燭に火を灯すと、レイナに部屋の中央に立つようにと言った。

レイナは目を閉じた。

老女はレイナの知らない言語を口にする。それは呪文なのだろうか。

徐々に意識が遠のいてくる。

部屋を満たす香が強くなったように思えた。

しばらく意識が浮遊したような状態が続いた後、ふいにレイナの思考のなかに、すさまじい光が押し寄せてきた。

それは打ち寄せる波のようにレイナの思考に膨大な情報と今までにない力をもたらす。


波はすぐにぴたとおさまった。

レイナはゆっくりと目を開けた。

自分の中に、今までにない力が備わったのがわかった。

レイナの両腕には、この部屋を満たしているのと良く似た紋様が刻まれている。

レイナは老女のほうを見た。

「儀式は終わりだ。その力をどう使うかはお前さん次第だ。が、くれぐれも乱用は慎むことだよ」

「……はい」

「お前さんにも、この国にも、良い方向へ向かうことを切に祈っているよ。武運を、運命の子」

「ありがとうございます」

レイナは老女に深々と礼をして、部屋を出た。

扉の外で待っていたユウリと目が合う。

「レイナさま、大丈夫ですか?お加減は」

ユウリが心配そうに訊ねてくる。

「別になんともないよ。変かい、私」

「いえ、そんなことはありませんけれど」

「変わったことといえば、腕に模様を描かれたことくらいだ。別にどうってことはないよ」

レイナは袖をたくし上げてユウリに紋様を見せた。

「どうやらこの模様が秘術を行う者の証らしい」

レイナは笑ってみせた。

「行こう」

ユウリを促して建物の外へ出た。

「こっちだ」

レイナは迷いなく歩を進める。

その後をユウリが追う。

------

少し進んだところで、ユウリは後ろをふり返った。

「あ」

小さな驚きの声をあげる。

先程まで滞在していたはずの建物が見えない。まだそれほど離れていないはずなのに、忽然と姿を消してしまった。

「そうか、やっぱり」

レイナが呟いた。

「おそらくあの建物、もう二度と辿りつけないな」

「それは一体……」

「本来誰にも辿りつけない、そのように呪術で守られている。それだけでなく、この森全体をおおう不思議な力も、あの館の主によるものかもしれないね。私たちはあの人に誘われたんだ。偶然見つけたわけではなく、あちらが私たちの気配を察して道を開いてくれたのだろう」

「レイナさまに会うために?」

「ラスファイドを救うためにだろう。あの人は、この国が好きみたいだ」


ほどなく、レイナとユウリはあっさりと森を抜けた。

「レイナさまには、抜け道がわかったのですか」

「うん、何となく。これもこの模様の力かな」

レイナは自分の腕を見た。

「すごい力をもらったみたいだ。大切に使わないとね」

「ええ」

ユウリは少し心配そうな面持ちでレイナを見ていた。

「大丈夫、乱用はしないよ。さあ、早く戻って帰還を報告しないと」

「そうですね」

「ああ、隊長にお小言を言われそうだな」

二人の周りを、秋の風が吹きすぎていった。


(第四章にすすむ→)

(もくじにもどる)

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■ コメント

Re: タイトルなし

<<れもん様

コメントありがとうございます。
物語は佳境に入ってきてます。

このあとの展開にご満足いただけるかわかりませんが、
お時間ありましたらまた読みにいらしてくださいね^^

レイナ、かっこいいです!
国と救うためにとか・・

しかし、その秘術の力とかが気になります・・!!
どうなるんだろう・・

遅くなってしまいスイマセン;また、来ます

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