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ハトノユメ

自作小説ブログ

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秋にめざめる (9)

老女は静かに語りはじめた。

「わたしは古くからこの森に住まう占い師の末裔でね。外部とほとんど関わることもなくひっそりと暮らしている。が、そんなわたしの処に、ごくたまに来訪者が来ることがある。そしてそれは決まってこの国に異変があるときさ」

「今回の私達も、その来訪者ということになるのですか」

「もちろん、そうさ」

「では、ラスファイドに異変があると」

「もうすでにあるだろう?」

「……帝国との戦争?」

「うむ」

老女は卓の上で指をすべらせる。何かの図形を描いているように見える。

「この国の、ラスファイドの未来が見える」

「あなたは、先見の術を会得しているのですか」

「完全ではないが、大きな異変はわかるよ」

「今回の争いに関しては?」

「もちろん見える。ラスファイドはアルカダイアと一線交えようとしているが……あまり芳しくないね」

老女は図形を描き続ける。

それにより何かの情報を得ているようだ。

「帝国の力は強大だよ。今まで凌いでこられたからといって、今回もうまくいくとは限らない。帝国は、どうやら新しい策を弄してくるようだ。このままではこの国は危ういかも知れん。帝国との力の差ははっきりしている」

老女は静かに、だが明確に言い切った。

「では、我々はどうすれば」

レオナの問いに老女は口元をゆがめた。

横目でレイナを見据える。

「ラスファイドに古くから伝わる秘術を教えよう。それが、ここでお前さんと会うことになった私の役目だろうからね。うまく使えば帝国と渡りあえるかもしれない。お前さんの星回りはこの秘術を継ぐのに最適だよ、運命の子。ただし」

「……ただし?」

「乱用すれば命に関わる。それを承知の上でならの話だ」

傍らのユウリが息をのんだのがわかった。

視線を向けると、ユウリが青ざめた顔でレイナを見つめていた。

「おやめください、そんな危険なことは」

「ユウリ、でも」

ユウリはレイナの言葉がまだ終わらないうちに、老女に視線を移した。

「代わりにぼくではだめでしょうか。この方を危険な目にはあわせられない」

老女はユウリの顔を見た。

その双眸を丹念に観察して、口元を歪める。

「ほほお、お前さんは、非常に面白い。相当に珍しい星回りを持って生まれておる。それは大事にすべきだが、残念ながら、お前さんには無理だ」

老女の言葉にユウリはうつむいた。眉間に少しばかりしわを寄せている。


しばしの沈黙ののち、レイナは、

「私に教えてください、その秘術」

と、しっかりとした口調で言った。

ユウリがはっとした様子で顔をあげる。

「レイナさま。いけません」

レイナは老女を見つめていた。

「本当にいいのかい」

老女の問にレイナの答えははっきりしていた。

「ええ。どうしても守りたいのです。この国を、故郷を」

ユウリと暮らした、この思い出の場所を。

「おやめください、危険すぎます」

「……ユウリ、ありがとう、いつも気遣ってくれて。感謝してるよ。でも、今回ばかりは」

「レイナさま」

「ここで帝国に負ければ未来はない。それならば、少しでも可能性があるものにかけてみたい」

レイナは穏やかに笑ってみせた。


ユウリはもはやとめる言葉を持たないようだった。

(つづきへ→)

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