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ハトノユメ

自作小説ブログ

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秋にめざめる (7)

古い建物を見つけたのは、レイナが指し示した方角にしばらく進んだときだった。

それは森の中に忽然と佇んでいる。

決して小さくはないのに、この森の中にそんな建物があるという話を今まで全く聞いたことがない。

通行路から外れた忘れられたものかと思ったが、そこからはかすかに人の気配がする。

だれかが住んでいるのだ。


こんな森の中に?


レイナは奇妙には思ったが、不思議と恐ろしくはなかった。

だれかが住んでいるのなら、その人物はこの森をぬける方法を知っているかもしれない。

そういう期待を持った。


傍らのユウリはやや不審げな面持ちで目の前の建物を見上げている。

瞳が、青い。

アニミノードを使って内部の気配を窺おうというのだろう。

ほどなくしてユウリは地面のほうへ視線を落とした。

「どう、何かわかったかい?」

「いえ。やはりこの森ではアニミノードは拒まれているようです」

それを聞いてレイナはもう一度建物を見た。

自分には、強く何かの気配がかんじられる。

なぜだろう?

アニミノード能力は微々たるものでしかないレイナは、こんなに離れたところから何かの気配を強くかんじることはほとんどない。

剣の間合いの範囲ならともかくとして、自分からの距離が遠のけば遠のくほど、当然ながら気配はかんじにくくなるはずなのに。

こちらの方角が気になっていたのはこのせいか?

この気配に引き寄せられたのか?


「ユウリ、私にはなぜだかあの建物の中から人の気配がかんじられるんだ。それも、かなり強い気配」

「本当ですか?ぼくにはさっぱり……」

困惑するユウリの瞳は漆黒に戻っている。

「ねえ、入ってみない?もし人が住んでいるのなら、この森を抜ける方法を知っているかもしれない」

「しかし、何か凶悪なものが棲みついている可能性もありますよ」

「それは、ないと思う。中からは攻撃的な気配はかんじないよ。存在感は強くかんじるけど、決して威圧的なものではないから」


レイナはユウリを諭すと、先に立って歩き始めた。

つる草に覆われた扉をノックする。

幾度か繰り返すが、返事はない。

思い切って扉の取っ手を引くと、ぎいと音を立ててゆっくりと開いた。

レイナはユウリをふり返った。

口元で少し笑う。

「無作法だが、非常事態だ。お邪魔させてもらおう」

そう言って、そっと建物の中に足を踏み入れた。


(つづきへ→)

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