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ハトノユメ

自作小説ブログ

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秋にめざめる (5)

その後向かった作戦室で、局長から直々に森の探索任務が命じられた。

森の抜け道の調査と、一旦退いたはずの帝国軍の動向を調査せよとの内容だった。

隊長と四人の隊員という編成で森へ入り、国境の山へと抜ける道を進んだ。

森を抜け、しばらく山中で帝国軍の動向を調査した。

まだそれほど軍勢が迫っていないことを確認し、また森を通ってラスファイドの首都へと帰還し、得た情報を報告することになっていた。

その途中、どこかでレイナとユウリは不覚にも道を外れてしまい、ほかの三人を見失ってしまった。

どこで見失ったのか、目の前を歩いていたはずの三人をなぜ見失ったのかどうもはっきりと思い出せない。

これが人を惑わすという森の力なのか、とレイナは考えた。

抜け道を示す目印を探してかなり歩き回ったが、収穫はなかった。


レイナは傍らのユウリを見た。

さきほどまで瞳を真っ青にしていたが、今は落ち着いた色に戻っている。

「どうだい、やはりアニミノードもこの森では使えないのか」

「……時折気配がつかめることもあるのですが、長続きしません。方向を特定するまでには至らない状態です」

「そうか」

「申し訳ありません」

「きみがあやまるようなことじゃないよ。予想はしていたじゃないか。アニミノードが有効なら、こんなに遭難者が多いはずはない。この森にはアニミノードを遮断する何かがあるんだ」


アニミノード---万物の気配を感じ取り、それを増幅したり減弱したりすることで多彩な能力を発揮する超常の力。

アニミノードをある程度使えれば方向探知は容易である。

レイナはアニミノードに関してはからきしである。が、ユウリはかなり優秀な能力者であるから、通常であれば方向を見失い遭難することなどあり得ない。

「小刻みに探知を続けていけばいずれは抜け出せるかもしれません」

「そんなことをしたらきみの身が持たないんじゃないか。相当な集中力を必要とするだろう」

「大丈夫です」

そうは言うものの、ユウリは明らかに顔色がすぐれない。

平素から血色は良いほうではないが、今はかなり青ざめて見える。

「とにかく、もう少し休もう。向こうに少し地面が抉れてる場所がある。あそこなら風が避けられるから、移動して体を休めよう」

レイナは立ち上がってユウリを促す。

しかしユウリは同意しかねるという表情をした。

「そのような悠長なことをおっしゃって……」

そんなユウリを横目に、レイナは肩をすくめた。

「この状況では、もはや焦っても仕方ない気がするよ。幸い四、五日なら凌げるだけの食料は持っているじゃないか。ちゃんと休んで、それからまた方策を考えよう」

「しかし」

「ユウリ、きみの顔、鏡で見せてやりたいよ。そんな青白い顔で……無理をして倒れても、私はきみを背負って森を抜ける自信はないからな」

そう言って、レイナは躊躇するユウリに少し笑ってみせた。

ユウリはそんなレイナをまじまじと見た。

「なんだい、じろじろ見て」

「いえ……レイナさまがぼくが考えていた以上に肝の据わったかただと思いまして。度胸は人一倍とは知っておりましたけれど」

「肝が据わっているのかはよくわからないけど、わたしはきみが一緒にいてくれるから、別に怖くはないなと思うよ。きみと一緒なら、何とかなる気がするから」

レイナがそう言うのを聞いたユウリは、気恥ずかしそうに視線を外した。

ほんの少しだけ、頬が赤くなっているようにレイナには見えた。本当にほんの少し。


レイナは、ユウリがそんな表情を見せてくれたことをうれしく思った。だがこちらも表面にはださなかった。


レイナは地面が窪み、風よけの壁ができている場所へと先にたって歩き始めた。


(つづきへ→)

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