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ハトノユメ

自作小説ブログ

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鼎談 (4)

今回の構成員として選ばれたのは六人で、いづれも年若いパイロットばかり。

その六人を二手に分けて現地へ向かわせるという。どちらか一方でもたどり着けばよいということなのだろう。

アルバトロスには、こんな奇妙な計画を立てる上層部の考えが不思議でならない。

わざわざこんな回りくどいことに労力を費やすよりも、より低燃費で長距離を飛べる機体を開発して敵国の奥地まで飛んでいこうとするほうがはるかにわかりやすいし、効率的に思える。

しかしながら上層部は、アルバトロスが考えているほどには効率を重視していないのかもしれない。

早期に決着がついては困るというのだろう。軍需の恩恵にあずかっている人々は少なからずいるのであろうから。


アルバトロスは任務を拒む気はない。やれと言われればやるまでだ。しかしながら頭の片隅では、この仕事の矛盾点を考えることが前より多くなっているのは事実。ただ飛んでいるのが楽しかったころとは違ってきている。

アルバトロスは、バーディ、イーグルと三人で組むことになった。隣の席のバーディは「きみと一緒でよかった」と小さな声でいって笑顔を見せた。アルバトロスも小さく笑みを返す。

前方のイーグルへ視線をやった。彼はチーム分けを発表されても特に反応は見せず、こちらをふりかえることもなかった。


作戦は三日後の早朝より開始する。以上。

上官は最後にそう告げると解散を言いわたし会議室を出て行った。集められた少年たちも、一人、二人と姿をけす。会議室にはアルバトロスとバーディだけが残った。


「ずいぶん突拍子もない作戦を考えるよね、上層部も」

バーディは小声で言う。

「やっぱりきみもそう思う?」

「思うよ。何だか効率が悪いよね。ま、仕事だといわれればやるけどさ」

バーディのその言葉にアルバトロスは少し笑う。それを見たバーディは「何がおかしいのさ」と不思議そうに問いかけてきた。アルバトロスはかすかな笑顔のまま、

「ぼくもまったく同じことを考えてたんだ。そう思ったら妙におかしくなってきて」

と答えた。

それを聞いたバーディも笑う。こちらはころころと無邪気な笑い方。

「ぼくたちは仕事はきっちりこなすのが信条ってことさ。そこらの大人たちよりよっぽど仕事熱心だよ」

と得意げに言うバーディに、アルバトロスも、

「たしかにそうだね」

と相槌を打った。


二人はそんな何気ないやりとりを続けながら会議室をでる。廊下の突き当たりにイーグルが立っているのが見えた。

彼は二人のほうを横目で見ていた。


栗色の髪がわずかに風にゆられている。


(つづきへ→)




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